『マップス』4巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想
コミック『マップス』4巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
またもや、想像のななめ上を行ってくれました! ダードが強い! リプミラがまた、別の意味で強い! 最強の伝承族が現われ、とても勝てそうにない! そもそも、ラドウ自体が超絶に強い! と、私の脳内でパワーインフレを起こしてしまいそうです(うれしい悲鳴)。
4巻に掲載されているお話は、次のとおり。
龍のとりこ編
ACT.30 龍の末裔
ACT.31 “とらわれの姫”暴れる
ACT.32 銀河に何が起こったか
ACT.33 正しい選択
ACT.34 狂龍、吼える
ACT.35 龍の穴
帰還編
ACT.36 幕間は長くない
ACT.37 配役は変わった
ACT.38 うごめく者たち
青き円卓編
ACT.39 嵐の前
ACT.40 断頭台の上の円卓
まず、「龍のとりこ編」の続きのあらすじから、参ります。
ダードがリプミラを連れて到着したのは、未確認宙域にある、大勢のビメイダー達が集まっている星。そこでは、ダードは自然発生人(ナチュラリアン)からの解放者として、英雄視されています。側近の女性、オルシスが、無意味な海賊行為と戦闘をやめてほしいと、忠告しても、聞く耳を持ちません。
ダードは、狂戦士、龍の一族と恐れられるライ族の、最後の一人であり、一族を滅ぼした張本人でした。リプミラの攻撃力を用心して、全裸にしてしまいますが、彼女は後ろ手に拘束された状態から、堂々と反撃開始。ダードの部下すべてを撃退し、彼と対峙します。
一方、ゲンはリプミラを捜しており、ザザーンも、船団をひきいて駆けつけましたが、突然、ある重要情報を受けて、救出を断念します。それというのも、47時間前、惑星ドドーに各国高官らが集結していた時、伝承族の長、神帝ブゥアーが、「一年後、銀河を生贄砲として使用する」と、宣告してきたのです。“十匹の魔物(マップス)”が、青き円卓につどいし時という、伝説が実現するのか。そうさせじとする、ドドー側と、ブゥアーの声に触発された未確認宙域軍。青き円卓にて、両軍の激突を止められるのは、ダイナック・ゲンしかおらず、リプミラを置いて、即刻、遠距離ワープをしなければ、円卓に到着できないからでした。ザザーン、シアンは、リプミラをあきらめるように言うのですけれども、ゲンにはできません。ザザーンは、責任放棄と激怒して、艦隊ともども去ってしまいました。
ダードとリプミラの戦いは、一進一退の攻防を続けていますが、船体が傷ついている分、リプミラがやや不利。ダードにダメージを負わせることはできても、勝ちになりません。やっと、ゲンが合流したものの、何と、ダインが戦いの場に乱入し、同化能力を持つ船体によって、ダードのそれを攻撃します。けれども、ダードは、中性子を出現させて吸収し、逆にダインを敗退させます。彼は勢いに乗じて、ビメイダーの星を破壊し尽くすのでした。
一方、傷ついたリプミラに代わって、リプミラ号を操縦するゲンですが、ダードに対抗できず、何度もピンチになります。けれども、ビメイダー達が立ち去る際に、リプミラ号にエネルギーを充填してくれたのでした。最後の手段を使うべきか、迷うゲンに、リプミラは寄り添い、励まします。ゲンは決心し、ダードへ、全兵装一斉発射を行ない、その船体を破壊して勝利。しかしながら、力を使い尽くしたリプミラ号が、中性子星に吸いこまれていきます。ダードは最後の力をふり絞って、中性子星をブラックホールに変え、“空間のつなぎ目(特異点)”に案内します。さらに、五つのブラックホールをつないで、銀河を横断するハイウェイとし、リプミラ号を誘導した後、どこへともなく、姿を消します。リプミラは嘆きますが、ゲンに声をかけられて、きっぱりと、顔を上げるのでした。
「帰還編」は、伝説が“青き円卓”と呼んだ地球へ、ゲンとリプミラが帰還の途中、宇宙を飛ぶ空間生物によって、赤子を押しつけられてしまいます。仕方なく、ゲンは、となりの恒星系まで立ち寄ることに決めました。
一方、ザザーンひきいる二万人の部隊とリム、シアン、星見も、地球に向かっていました。宴会ばかりしていますが、星見は、惑星ドドーでは珍しい男性、ウディナ・ブイアと知り合います。
のん気にかまえていた、ゲンとリプミラでしたが、何と、ダインが船内に侵入し、リプミラを眠らせ、ある星へ到着したゲンをもねらってきます。その星の原住民に襲われかけるのですけれども、リプミラが皆を救出します。赤子になつかれて、ダインの心に何かが芽生えます。が、十万機のリープタイプの中から、リプミラと奇跡的に同じ外見を持ち、彼女の屈託のなさを受け入れられない過去を持つダインは、一対一の勝負を仕掛けます。けれども、一瞬で、リプミラの勝利。
屈辱にまみれたダインは、ラドウの元へおもむき、新たな船体を望みますが、ラドウは嘲笑。ダインは愕然とします。
一方、ガタリオンは、伝承族の評議会員のニブーから、反乱とみなされ、攻撃されます。しかし、ガタリオンは余裕の態度でラドウを差し向けます。そのラドウは、伝承族の遺伝子を持っており、ニブーを倒します。ガタリオンは、“青き円卓”の破壊をもって、反乱の幕をおとすと、宣言するのでした。
「青き円卓編」は、惑星ドドーを中心とする、シアンやリム、ザザーンのいるテュリオム通商圏連合、未確認宙域軍が、地球近くの宙域に到着。ザザーンは、勇者(ゲン)不在をごまかすため、エイブはゲンになりすまし、シアンとリムはリプミラのふりをしたのですが、少し遅れてリプミラ号が追いついてきました。皆が喜ぶのもつかの間、伝承族最古、最大の機械学者、アマニ・オーダックが出現! 青き円卓と両軍を、神帝ブゥアーを葬るための生贄砲の弾丸とするべく、殺し尽くすのが目的でした。リプミラ達やテュリオム軍も迎撃するものの、戦闘はやや不利。さらに、ガタリオン、ラドウ、ダインらが到来します。
アマニは、膨大な宇宙船群を放出し、地球を輪切りにしようとしますが、リプミラがスター・ティアで一挙に破壊します。地球壊滅はまぬがれたけれども、伝承族反乱軍に対して、数の上では圧倒的に不利。シアンはリプミラに、ラドウを制止するよう指示し、リプミラは承知します。ザザーンは、伝承族と対抗するため、未確認宙域軍とも協力し戦うことを、全軍に命令します。加えて、シアンはアマニを倒すため、あのラフなビキニスタイルから、兵装にコスチューム・チェンジ。この大規模な戦いの行方は?
この漫画のイケメンは、ガタリオンといい、ダードといい、悪役しかいないのでしょうか。女性ファンの末席の端くれの私としては、少しばかり惜しい気持ちです。幼女っぽい美少女キャラが多くて(主人公のゲン側の彼女達は、奇跡的に性格もいい!)、萌え系好みの男性ファンには、ウハウハで、のめりこみそうですね。えっと、批判しているわけではありませんよ。この漫画の個性ですから。
そういう作風で、リプミラが実質上の女主人公であることは、なかなか、意表をついていますね。それにしても、出だしの方で、ゲンがリプミラを捜すにあたって、「ここに ヒロインをやるには ちとトウが立った感じの美女がさらわれてきたはずだ」と、説明するのは……(笑)。いや、リプミラは外見だけでなく、漢気があって、私の中では割と好きな女性キャラのトップクラスに行きますよ?
言い争いもする、ゲンとリプミラですが。
ゲン:「最後にキスする時間ならあるってわけだ……」
リプミラ:「キスする時間ぐらいしかないって……そういうわけだ!」
と、別個のエピソード(ネタバレ防止のため、ここまで)で語り合い……しますが、これはもう、公認カップルでしょう。それなのに、リムにも星見にも好意を持たれているのですから、もっと深読みすれば、この漫画からモテの極意を探れるかもしれませぬ(探れなかったとしても、私のせいではありませんので、念のため)。
あと、あらすじでは省略しましたが、リムが宴会中にやる内臓ギャグは、要するに、オヤジギャグです。かわいい恰好とのギャップに、私は萌え、ならぬ大笑いの発作を起こしてしまいました。
最後に、シアンのコスチューム・チェンジには、かなり驚かされました。それはもう、この漫画では、しょっちゅう、仰天させられておりますけれども。
ザザーンが正体を隠すためにまとう、宇宙服だかプロテクターだか、あるいは、その両方の兵装のような、いかつさはなく、機能的で、すっきりしたスタイル。リプミラの予測不能な強さに、つい目を奪われがちですけれども、シアンも戦いのプロであることは間違いなさそうです。が、冒頭の繰り返しですみませんが、ガタリオンに、姉妹最強のラドウ、伝承族のアマニとそろっていて、どうやったら勝てるのでしょうか。
それに、根本的な謎として、伝承族がもしも、銀河を滅ぼしてしまったら……彼らは、その何もない世界で、どうしたいのでしょう? 全宇宙征服というのなら、わかるのですが、生きるもののいない殺伐とした広大な空間は、彼らに何のメリットがあるのでしょうか?
もう一つ、伝承族に敵対するゲンやリプミラ達の他に、ガタリオン、ラドウが伝承族反乱軍となっているわけですよね。しかしながら、ガタリオンらは、ゲンやリプミラをねらい、殺そうとまでする目的は、何なのでしょう? 敵の敵は味方のはずですから、協力し合ってこそ、目的を達しやすいはずなのに、ガタリオンの真のねらいは、どういうものなのでしょうか?
次巻も、私は大いに楽しみにしております。それでは。
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