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2024年6月に作成された記事

2024年6月29日 (土)

『桑田次郎 アダルト短編集 サングラスをはずさないで』(マンガショップ)の感想

『桑田次郎 アダルト短編集 サングラスをはずさないで』(マンガショップ)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 内容=タイトルの、漫画短編集です。掲載誌が、「プレイコミック」「ヤングコミック」といった、大人向け漫画雑誌であったために、女性のヌード率は高めですが、成人指定というほどではありませぬ。
 掲載された作品は、1968年から1978年間に発表された、15作品で、次のとおりです。

 サングラスをはずさないで
 4⇔2
 吸血女
 夢の中の欲望
 わたしは殺さない
 殺しの部屋
 明日への悪夢
 最後の秘密兵器
 しみ
 運命は狂わなかった
 正夢
 焼死体
 死刑執行期間一年
 ミス・アイデアル
 自殺のしかた教えます

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2024年6月28日 (金)

『世界悪女物語』(澁澤龍彦・河出文庫)の感想

『世界悪女物語』(澁澤龍彦・河出文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 発行年月日が昭和57年12月4日(私の購入した本は昭和60年5月28日 十三刷)と、かなり以前の内容なのですが、世界の十二人の悪女のエピソードは、どちらから先に読んでも、おもしろく、なおかつ読みやすい内容でした。

 収録されているのは、次の女性達です。年代は省略しますね。

  ルクレチア・ボルジア イタリア
  エルゼベエト・バートリ ハンガリア
  ブランヴィリエ侯爵夫人 フランス
  エリザベス女王 イングランド
  メアリ・スチュワート スコットランド
  カトリーヌ・ド・メディチ フランス
  マリー・アントワネット
  アグリッピナ ローマ
  クレオパトラ エジプト
  フレデゴンドとブリュヌオー フランク
  則天武后
  マグダ・ゲッベルス ドイツ
 
 悪女ブームとまではいきませんが、世界史上の残酷な事件や顛末などで、彼女達はもう、すっかり有名になってしまったと思います。
 フレデゴンドとブリュヌオーの、フランク人王妃同士の凄惨な戦いは、割と知られていないかもしれませんが。
 簡単に説明いたしますと、権勢欲と復讐に取り憑かれたフレデゴンドとブリュヌオーは、目の覚めるような美女から50代の姥桜になっても、互いを攻撃することをやめず、やがて、フレドゴンドは病で倒れ、ブリュヌオーは馬に引きずられ、80歳で死亡。こんな人生は、絶対にいやですよね。



 

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2024年6月22日 (土)

『ポムレー路地』(マンディアルグ 生田耕作/訳 奢灞都館)の感想

 書籍『ポムレー路地』(マンディアルグ 生田耕作/訳 奢灞都館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 作者様、翻訳者様(さらに出版社様も)が同じでありながらも、前回の『1914年の夜』とは、作風がガラリと異なります。いやぁ、本当に、いい意味でやられてしまいました。私、心から精神的土下座をいたします。

 簡単にあらすじを申しますと、ナント市を訪れた「私」は、好奇心のおもむくままに、ポムレー路地に足を踏み入れます。古式ゆかしい? 謎めいた廻廊、奇怪な彫刻群、さらには有用か無用か、判断のつきかねる陳列窓(ショーウィンドー)の多くの品々に目を奪われますが、いつの間にか、一人の美女が近づいき、見つめられていることに気づきます。彼女は、「エシイドナ」と叫んで、歩み去るのを、私は追っていきます。袋小路の奥にある一軒の家の最上階で、彼女に追いついたものの、そこには、見たことのない奇妙な生き物がいました。「自分の番が来たのだ」と、私はつぶやき、手術台に歩んでいきました。
……という手稿が、ナント市の淫蕩な地区で発見され、その書き手なる者は……。

 作中に、何枚も差しはさまれた、19世紀末か20世紀初頭頃の、古めかしい白黒写真が、よい効果をかもし出しています。
 不気味で、先が見通せず、運命に任せるしかない、おどろおどろしい雰囲気たっぷりです。



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2024年6月19日 (水)

『1914年の夜 アール・ヌーボー調』(A・P・マンディアルグ 生田耕作/訳 奢灞都館)の感想

 書籍『1914年の夜 アール・ヌーボー調』(A・P・マンディアルグ 生田耕作/訳 奢灞都館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、ある講演会の後、購入させていただいた奢灞都館の本です。しかも、エロくて幻想的な作風のマンディアルグの作品で、生田耕作の翻訳でしたので、小躍りしてしまいましたよ。
 奥付によれば、1979年4月初版で、装幀はアルフォンス・イノウエ。30ページほどの短編ながらも、化粧箱入り。その箱こそ、元々アイボリーだったのが日焼けして薄茶色に変色していますが、中の本にダメージは、ほぼゼロ。奇跡のような本を入手したなあと、思わず、抱きしめました。
「お願い、おもしろい内容でいてね」と、念じながら、読み始めたわけです。

 少しだけ、あらすじを申しましょう。
 語り手の「私」は、イギリス女性のレリアと恋をし、ホテルのテラスで陶然と、ワルツを踊ります。夢のように美しい夜。イタリア、レマン湖、ホタルと、様々な美しさと、繊細なイメージが交差していきます。醜い情欲的なものも。私はあえて、昼間に見た、ジュネーヴ新聞の見出しを忘れようとし、ただひたすら、夢幻の中へ……。


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2024年6月16日 (日)

『オール・アバウト・セックス』(鹿島茂・文春文庫)の感想

『オール・アバウト・セックス』(鹿島茂・文春文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、エロ本? エロス本? それとも、エッチ本? という感じの、エロチックな内容の本を紹介した、ブックガイドです。週刊誌に四年近く連載されていた書評をまとめ、巻末に官能小説ガイドを付記し、久世光彦、福田和也、作者様の三人の対談、あとがきで締めくくった、結構充実した内容です。
 取り上げられている内容は、百年以上昔のものから、最近のベストセラー、海外の翻訳作品もあれば、官能小説、ノンフィクション、コミック、官能劇画と、これまた至れり尽くせり、「エッチのことなら、私に任せろ!」と、胸を張って宣言しておられるような感じですね。巻末には、書名と著者名、両方の索引が載せられていて、ブックガイドとしては、超絶親切仕様です。
 ただ、申し訳ないのですけれども、いただけない点を挙げますと。
 タイトル……ですかねえ。私は思わず、「わーい、セックスガイドブックだぁ!」と、即座に購入してしまいましたから。裏表紙の説明を読まなかった私が悪いのですが、もう一工夫、欲しかったです。
 各回のテーマについて、実は、ニッチ? グロ? というか、そういうものの扱いがなかったか、軽かったように思います。屍姦、獣姦、四肢切断もしくは欠損、異性装といったマイナー系を好まれる方は、拍子抜けされるかもしれませぬ。
 あと、超個人的に、早見純、山本夜羽音、宮西計三も、紹介していただきたかったです。榊まさる、笠間しろう、前田寿安は挙がっているのに。
 もう一つ残念ながら、ボーイズラブ作品は、皆無でしたねえ。

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2024年6月15日 (土)

『ドグラ・マグラ』上・下(夢野久作・角川文庫)の感想

『ドグラ・マグラ』上・下(夢野久作・角川文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 実は、感想をアップする予定だった本を読了できなかったため、急遽、大昔に読んだこれらの本についてご紹介いたします。
 読むのが遅くて、すみませぬ!

 あらすじとしては、ある青年が、真夜中に、ボンボン時計の物音で目を覚まします。が、彼には記憶が、一切ありません。彼の叫び声に応じて、一途で清純そうな少女が呼びかけるのですけれども、彼女が誰なのかもわからないのです。ショックを受けたまま、青年は朝を迎えます。食事と衣服を与えられて落ち着いた頃、九州帝国大学法医学の若林教授という奇怪な紳士が面会にやって来ます。そこで、若林教授は、青年が、正木敬之教授の精神科の治療を受けており、記憶を取り戻すことが何よりも大事であると、話して、様々な恐ろしげな研究成果を見せるのでした。
 その中には、「ドグラ・マグラ」という小説も入っていました。青年は、正木博士の膨大な論文を読み始めます。
 ようやく読み終えた時、目の前には、正木博士がいるではありませんか。
 それは、はるか昔の中国にいた頃のある絵師から受け継がれた、殺人と死体翻弄の、恐るべき「胎児の夢」のなせる技だったのです。

 うぅ、もっと書きたくとも、推理小説ですので、ネタバレ防止のため、ここまでで精一杯です。
 すでに、主人公の青年が、記憶と幻想の中で、必死に真相を突き止めようとしているのですが、堂々巡りの迷路に入りこんでいるわけで、下巻で明らかになる凄惨な殺人事件を理解するのは困難です。

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2024年6月14日 (金)

『マップス』6巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想

 コミック『マップス』6巻(長谷川裕一・メディアファクトリー)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 相変わらず、予想のはるか斜め上を行ってくださるストーリー展開です。完結まで読了しない以上、このドキワク、ハラハラ感は、まぬがれないのでしょうね(うれしい悲鳴!)。
  6巻に掲載されているお話は,次のとおり。

 ACT.51 ニュウ・エイブ七つの試練
 統一編
 ACT.52 旅立ちの前に
 遊撃編
 ACT.53 放たれた針
 ACT.54 牙を持つ翼
 ACT.55 亀裂
 ACT.56 無をいく者たち
 ACT.57 四十億年のプロメテウス
 ACT.58 開かれた箱
 ACT.59 来訪者
 ACT.60 人魚のクリスマス

 簡単に、あらすじを説明いたしましょう。ACT.51は、スペース・パトロール提督になるべく、ニュウ・エイブが受ける試練のお話で、ギャグ成分の多い、番外編っぽい内容です。
 ACT52は、伝承族との戦いのため、宇宙へ旅立つ前のゲンの元に、ジャルナ王女が訪問し、小さな騒動が起こるというもの。
 そして、メインたる「遊撃編」では、星見は地球でゲンの帰りを待ち、ゲンはザザーン達の仲間とともに、出発します。総司令官はザザーンン。リプリムは、小さなラドウと仲良く、マド学院長のヘクススキーをお目付役に。シスター・プテリス(球体状の宇宙服を脱いだ姿は、ほぼチョウのような羽をやした全裸。セクシー)は、ゲンと一緒に。
 ザザーンの指揮下、全艦隊は一度にワープしますが、到着地点に、約三万五千機の艦隊が! 伝承族反乱軍とニードル・コレクションでした。二億機の銀河連合の遊撃隊で圧勝できるはずが、ニードル・コレクションの小型機に翻弄され、ダメージを受け続けます。そこで、リプミラ、シアンのリープ・タイプの出番となりましたけれども、変則的で予想のつかないニードル・コレクションの動きに右往左往させられ、挙句にはエンジンに爆発物をまかれてしまいます。エンジンが爆発すれば、二億機の全艦隊は全滅することに! リプミラはエンジンの切り離しを提案し、ザザーンは承知するものの、そうはさせじと、ニードル・コレクションの頭脳体が侵入してきます。その二人の美少女、ハーザンは野獣のように荒々しく敏捷な動きで、ソフティカは予想外の柔軟さで、そろってリプミラを攻撃してきます。いったん、リプミラは隙をついて、ハーザン、ソフティカを撃退したものの、エンジンの爆発→すさまじい空間波に見舞われ、シアン、リム達も皆、機体ごと、はじき飛ばされてしまいます。リプミラとゲンは、銀河系の外にまで飛んで行ってしまいました。
 ニードル・コレクションの雇い主(というより、支配者っぽい)は、伝承族のギツアート。彼はニードル・コレクションとその仲間の自由と引き換えに、支配下に置いたのです。
 そのようなわけで、銀河系外のリプミラ号(リプミラ、ゲン、プテリス)には、スガラ、二人組のゼルルゼ、光破船団のシアンとヒイには、ハーザン、ソフティカ、水の惑星にたたずむリム、ラドウには、もう一人という感じで戦いが始まります。
 ここで、光破船団のことですが、ヒイは銀河先住民族で、恒星の中に住む、エネルギー生物にして、銀河最初の高等生物。ヒイはその弟と対峙したところ、弟は伝承族と和平を結び、四十億年をすごしてきたと告げます。ヒイは、伝承族が生贄砲を用いれば銀河全体が消し飛ぶと言い、両者は完全対立。小競り合いの間に、ハーザン、ソフティカが、シアンを殺すべく、襲撃。ヒイはシアンをかばい、四十億年の間、伝承族に捕らわれていたため、残り数分となった寿命を、光破船団復活にかけ、シアンはハーザン、ソフティカ両方の船体を一気に破壊して逆転勝利。その経緯を見守っていた弟は心揺さぶられ、自分がキャプテンになると、言います。よって、光破船団が銀河第六軍として参戦することになりましたが、シアンはヒイを思って、ひそかに涙を流します(これは、かなり感動的な場面です)。
 ところで、リプミラ号は、ニードル・コレクションの船体と、銀河系外文明の、全長三十キロメートルの宇宙船と遭遇。切羽詰まったリプミラは、何と謎の巨大宇宙船にアンカーをつけて逃げ、船内に潜入します。そこで出会ったのは、岡本太郎が喜びそうな(?)、比喩できない姿の、巨大生命体? しかも、彼らは原人? 食いつめ者?(リプミラ編はここまで)。
 水の惑星で、リムとラドウは、ヘクススキー教授が呆れるほどに、仲良く遊んでいましたが、水中戦に特化した、バオン・リップが来襲! 少しばかり苦戦するものの、ラドウの助けもあって、勝利します。しかし、喜ぶ間もなく、次の強敵は、復活してニードル・コレクション側に回った強敵、ダード・ライ・ラグン!

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2024年6月 7日 (金)

『オーパ!』(開高健 写真:高橋曻・集英社文庫)の感想

『オーパ!』(開高健 写真:高橋曻・集英社文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 この本も古本市の購入したうちの一冊です。実家に保管してあったはずが、紛失したのか、誰かに貸したのか、わからなくなっておりましたので。
 つまり、元の本が見つかればダブりになるわけですけれども、それでも構わない、ぜひ読みたい! と、私が熱望するほど、ユニークで、ドキワクする、魅力的な本です。
 枕元に常備して、週末の、まったりした気分で読み返したくなりますね。

 あらすじというか、内容をご紹介いたしますと、有名な作者様が、ブラジルの大河アマゾンで、ピラーニャ、トクナレ、ピラルクー、ドラドといった個性的な魚達を釣り、旅をするという、釣り日記とも紀行文ともいえる作品です。
 魚のみならず、珍しい、もしくは、不思議な動植物まみれです。冒頭の、サンタレンまで行く船旅で、「料理は皆、大味だ」と、作者様は述べておられる割に、おいしそうな食べ物が満載で、唾が出てきます。
 もちろん、作者様の、淡々としていながら、まるで目の前のものを描出しているような文章の魅力によるところも大きいのでしょうが、この本は文庫本ながら、カラー写真が満載。リアルな動植物から、身の毛もよだつ……圧倒的大自然のスケール、罪深いけれども美しい、都会の夜景など、この本の奥行きとスケールを、何万倍にも広げていってくださっています。
 ちなみに、「オーパ!」というのは、ブラジルで、驚きや感嘆した時に発せられる言葉だそうです。
 

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2024年6月 4日 (火)

『図説 エロスの神々 インド・ネパールの太陽神殿とタントラ美術』(福田和彦・河出書房新社)の感想

 書籍『図説 エロスの神々 インド・ネパールの太陽神殿とタントラ美術』(福田和彦・河出書房新社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらの本は、奥付によれば、2000年5月に初版が発行されているそうです。「ふくろうの本」というシリーズで、説明文もわかりやすくていいですが、それ以上に写真や図解が多く、見応えがあります。また、このシリーズを見つけたら、購入してみるつもりです。

 内容としては、サブタイトルのとおりで、インドのコナーラク太陽神殿、ラージャラーニ寺院、チトカリニ寺院、カジュラーホー寺院群、モデラ太陽神殿、ネパールのタンカ美術が紹介されています。コラムには、昔のインドやネパールにて行なわれていた、性愛の様子や性技の絵が載せられています。
 間違いなく、色っぽい内容です。しかも、これらの寺院が建立された頃は、日本なら平安時代? といった感じで、インド人は、大昔から極めつけにエロっちいなと、身も蓋もない、下品な感想を言ってもいいのでしょう、が。
 作者様のお言葉によりますと。

 バラモンの経典に従えば、人間は自我を捨てるとき、肉体は消滅し、この世の一切の悩みから解脱し、歓喜にみちあふれるという。身体にまとう衣服を脱ぎ捨て、神々しいまでも美しく輝く肉体に変身する。抱擁、愛撫、性交もすべて歓喜となる。(中略)
 この神殿の舞楽殿の音楽を奏でる天女(アプサーラ)を見よ、踊り、歌う天女を見よ。彼女たちは神々の歌を、踊りの妙なる響きをわれわれに伝える。この愛の響きこそが、まさに神々の響きとなり、波動となってわれわれの心を浄化するのである。これこそが真理であり、自我を超えた真の歓喜の世界である。これを形象化し、象徴させたものが太陽神殿の彫刻群であって、これを世俗化した眼で見てはならない。

 まことに、そのとおり。反論どころか、返す言葉もないほどの正論、いいえ、聖論です。
 しかしながらと、表現世界の末席の隅っこにいる、一介の腐女子である私は、正直に申し上げたい。

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