« 2024年7月 | トップページ | 2024年9月 »

2024年8月に作成された記事

2024年8月31日 (土)

『若きドン・ジュアンの冒険』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.77)の感想

 書籍『若きドン・ジュアンの冒険』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.77)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 エロおもしろかったです!
 以前レビューした、同じ作者様の『一万一千本の鞭』に勝るとも劣らぬ、魅力がありました。
 前回は、ピカレスクものでしたが、今回は後味が悪くない分、私はある意味、気に入っております。

 あらすじを説明いたしますと、主人公は性的好奇心旺盛の少年、ロジェ。田舎のお城のような家に来てから、彼は本領を発揮します。
 小さな頃から、美しい叔母にオチンチンを洗ってもらうのが好きだったロジェは、姉のベルトの露出した下半身を確認し、互いに見せ合いっこをします。女中のカート、ユルスュール、エレーヌ達が、下男と、いやらしい冗談をたたき合っていたのも、見逃しません。
 図書室で、性の知識と自慰を覚えるなり、妊娠中の管理人の妻を相手に実践し、初体験をすませてしまいます。
 母や叔母が、聴罪司祭の前で、性の悩みを懺悔するのも、こっそり聞いています(←台詞ばかりのこの場面、私は結構エッチだと、思いました)。
 ついに、ロジェは、女中達と次々と交わり、ベルトと関係します。もう一人の姉、エリーズとも行ない、叔母のマルグリットとも、「夫婦ごっこをしようよ」。
 数週間後、エリーズとマルグリットは、妊娠したと、泣きながら、ロジェに訴えます。加えて、ユルスュールまで。ロジェは焦らず、彼女達に熱中している男性達と、それぞれ結婚するように指示します。そして、ロジェは、子供の名付け親になってあげたのでした。

続きを読む "『若きドン・ジュアンの冒険』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.77)の感想"

| | | コメント (0)

2024年8月30日 (金)

『GOETHE(ゲーテ) 2024年10月号』(幻冬舎)の感想

 雑誌『GOETHE(ゲーテ) 2024年10月号』(幻冬舎)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 事前に、おわびいたします。an・an No.2406 2024年7月24日号』の場合とまったく同じですが、こちらの本がB'zボーカルの稲葉浩志を表紙にして特集記事を組んでくださっているゆえ、彼の一ファンである私が、初めて購入いたしました。
 そのため、タイトルこそつけていますけれども、読了しておりませんし、稲葉さんのページばかり見て読んでいおりました。
 本当に、悪い読者です。
 ゲーテ出版編集関係者の方々と、真面目なファンの方、申し訳ありません。
 そういう超極小で、ファンによる偏見にまみれた、とんでもない感想ですが、それでよろしければ、参考になさってください。ただし、誹謗中傷は、おことわりいたします。

 読み応えも、見応えも、存分にありましたよ。今でも、時折、めくっては、目と心の保養にさせてもらい、癒やされているほどです。
 写真の質も充分といえますが、an・anとの違いは何だろうかと、私は考えました。
 やはり、an・anは女性目線、ゲーテは男性目線ということでしょうか。
「若い!」「かっこいい!」にしても、女性と男性の感じ方、あこがれの対象としても、差異はあると、思います。
 それで、ゲーテの特集記事では、稲葉さんの現在をメインにスポットをあて、インタビューなどで、そこから続く未来や可能性を見ていこうと、しているように感じられました。

続きを読む "『GOETHE(ゲーテ) 2024年10月号』(幻冬舎)の感想"

| | | コメント (0)

2024年8月25日 (日)

『新九郎、奔る!』17巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想

 コミック『新九郎、奔る!』17巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 駿河の家督相続編、ついに決着! まあ、16巻からの流れで、小鹿新五郎と孫五郎側に、勝機はなかったと、予想されるのですが、けれども、やはり、やむを得ないとはいえ、苦い勝利……。

 簡単に、あらすじを申しましょう。
 新九郎らは、清水の知行、伊達の軍勢と合流し、西へと向かいます。が、新五郎側の駿府方は、龍王丸の丸子攻めの最中。西から、朝比奈、岡部の新手の軍勢が到来し、丸子方を優勢に導く一方、駿府の福島修理亮の長男、兵庫充が、従弟の彦四郎に斬殺され、みるみるうちに趨勢が変わっていきます。駿府館に到着した新九郎は、彦四郎の協力で、門を開けさせ、突入するのでした。
 重病の新五郎は、家来からの報告で、伊達、入江、興津、庵原らの裏切りを知り、愕然とします。孫五郎は奮戦するものの、ついに、新五郎の眼前で倒れ伏します。新五郎は館に火をかけますが、炎の中、新九郎と最期に再会したのでした。
 戦いの後、新九郎は、家中の者に恨みつらみを残さないよう、自分が憎まれ役となって、信賞必罰の処理を行なうのですけれども、不満は噴出し、矢部左衛門尉らが反乱を起こし、翌年になっても、新九郎は鎮圧に忙殺されます。この事態に、痺れを切らせ、伊都が三月に駿河へやって来ます。伊都は合議を開き、家来達の前で、自分が今川家の家長を務めることを宣言し、謀反の鎮圧を命じます。結果、矢部は滅んで、新九郎は褒美として、富士下方を所領として得ました。
 また、伊都は、堀越源五郎の息子、一秀を呼び寄せます。龍王丸は彼に、瀬名一秀の名を与えて、源五郎の遺領を与え、近臣に任命しました。
 騒動が片付いて、新九郎は、堀越公方の足利政知に挨拶に行きますが、何と、奉公衆に任命されたのでした。また、奔放で言いたい放題の息子、茶々丸に手を焼かされます。
 一年二ヶ月ぶりに、京へ帰館した新九郎は、新右衛門の死に、ショックを受けます。また、従兄の貞宗は、近江の鈎に滞陣したままの将軍、義尚に、大いに手を焼いている様子。加えて、義尚は聞く耳を持たず、新九郎も門前払いにされてしまいます。せっかく、帰洛したというのに、新たな問題発生……。


 

続きを読む "『新九郎、奔る!』17巻(ゆうきまさみ・小学館)の感想"

| | | コメント (0)

2024年8月23日 (金)

『一万一千本の鞭』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.76)の感想

 書籍『一万一千本の鞭』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.76)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 おもしろくて、最後まで楽しめる内容でした。
 私にとって、間違いなく、富士見ロマン文庫の最高傑作です。

 あらすじをご紹介いたしますと、主人公は美貌のルーマニア青年、モニイ・ヴィベスク。別名プリンス・ヴィベスクといい、彼がブカレスト→パリ→オリエント超特急→旅順と、旅と逃避行を続けながら、様々な男女と関わり合い、犯し、お釜を掘られ、殺し、逃げまくります。最期は、奇しくも、モニイは、Ⅱ章の冒頭で、19歳のマドモワゼル、キュルキュリーヌを口説いた台詞そのままの運命に。
「(中略)もしわたしがあなたをベッドにお連れしたら、続けて二十回も情熱を証明して見せられるんですがねえ。もしこれが嘘だったら、一万一千の処女の罰を受け、いや、一万一千本の鞭でたたかれてもかまいませんよ!」
 そうして、モニイは全裸で、一万一千人の日本兵に鞭打たれる刑に処され……。

 読み始めた時は、ボキャブラリー豊富なエロ小説だと、私は思いました。少々、知識をひけらかしすぎで、いやみだな、とも。
 しかし、読み進むにしたがい、開いた口がふさがらなくなりました。官能描写といっても、こうも次々と、あらゆるバリエーションで休みなく続くとは!
 さらに、どんなハードでもソフトでも、エロというものは連続すると、飽きてしまうこともあるのですが、開いた口がふさがらないまま、一気に読ませてくれました。この表現力とストーリー構成は、学ぶ価値ありだと、私はうならされましたね。

続きを読む "『一万一千本の鞭』(ギヨーム・アポリネール 須賀慣/訳 富士見ロマン文庫 No.76)の感想"

| | | コメント (0)

2024年8月17日 (土)

『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想(追記)

 コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想(追記)を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 すみません、できるだけ追記を書かないようにしているのですが、失念していることがありました。
 私はガッツ推しなのですけれども、グリフィスに関して。
 彼は、言動がクールなタイプながら、シャルロットの寝所へ忍びこんで……など、そんな軽率で危険すぎる行為は、通常モードならば、絶対にしないはずです。
 ところが、そうしてしまう。しかも、交わりの最中に、あれをしよう、これは興奮する! とか、眼前のシャルロットのことを考えたり、感じたりするよりも、ガッツとの別れの場面を想起しております。
 グリフィスの動転ぶりは、彼自身でもコントロールできないものだったようです。
 これが、後々の大きな惨劇と、好青年だったガッツが、血も涙もない狂戦士(1~3巻を読んでみてください)に変貌するきっかけとなるわけです。
 ますます、『ベルセルク』が見逃せなくなりました。やはり、すばらしい漫画だと、思います。それでは。

 

ご協力お願いします。

漫画・コミックランキング
 

| | | コメント (0)

2024年8月14日 (水)

『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想

 コミック『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 久しぶりに読んでみたところ、9巻は、壮大なパワーがあり、伏線が敷かれておりました!
 ゴッド・ハンドや人外との戦いこそ、ありませんけれども、近い将来のガッツの苦闘を語る上で、重要なエピソードばかりといえましょう。

 そういうわけで、大変ですが、私が簡単にあらすじをご紹介いたします。
 グリフィスとの戦いに勝ったガッツは、一人旅の途中、森で野宿をしていた時、不気味な馬に乗った、髑髏(どくろ)の騎士に出会います。彼はガッツを、一年後に蝕が起こり、狂気と死が吹き荒れるが、それを乗り越えるには、必死でもがくことだと告げて、立ち去ります(ガッツは、ほぼ意味がわかりません)。
 敗北した上、ガッツを失ったグリフィスは、何と、王女シャルロットの寝室へ忍び込み、一夜をすごしてしまいます(夜這いです)。たちまち、国王に発覚して捕らわれますが、拷問にかけられながらも、グリフィスは、国王のどす黒い欲望を嘲笑したため、最下層の地下牢へ閉じ込められてしまいました。
 グリフィスが罪人となってしまったので、鷹の団もまた、救国の英雄から、軍隊に追われる身となり、キャスカが事実上のリーダーとなって、皆をまとめていかざるを得ませんでした。
 一年後、ガッツは鷹の団に入る以前のように、ある武闘大会に飛び入り参加し、異郷の戦士、シラット(!)と戦って、見事に勝利します。そこで、ガッツは初めて、鷹の団が盗賊扱いされて苦境に立っていることを知り、驚きます。
 シラットとその一味は、野宿中の鷹の団に戦いを挑みますが、危ういところで、ガッツが助っ人に入り、撃退します。ジュドーらから、グリフィスの捕縛、幽閉を告げられ愕然とし、彼らとともに救出について考えるのでした。
 しかし、キャスカは、安易にガッツの帰還を受け入れられず、二人きりになるや、剣技で挑みかかります。ガッツを本気で殺そうとするかのようにi怒りと憎しみを向け、涙さえ流しながら、自分がグリフィスの剣になれないこと、一年前に鷹の団を去ろうとしたガッツを気にかけていたことを、一心に語ります。ガッツも、キャスカの剣と情熱を受け止めるうちに、口づけを交わし、二人は森の中で、生まれたままの姿になって交わるのでした。
 キャスカはもちろん、初めての行為でしたが、痛々しい彼女の様子から、ガッツは幼い自分を重ねて見てしまい、義父のガンビーノ殺しという、最大のトラウマを思い起こしてしまいます。ふだんと裏腹に、嗚咽するガッツに対して、キャスカは寄り添い、「キズのなめ合いでもいいよ」と、言います。もう一度、二人は互いを求めて……。

続きを読む "『ベルセルク』9巻(三浦建太郎・白泉社)の感想"

| | | コメント (0)

2024年8月12日 (月)

『戸川純のユートピア』(廣済堂出版)の感想

 書籍『戸川純のユートピア』(廣済堂出版)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 発行が、昭和62年5月15日とのことで、リサイクル本屋様で入手したものです。今、普通に購入するのは、難しいかもしれませぬ。
 タイトルのとおり、戸川純が、エッセイを中心に、ユニークで個性的なイラストを交えて、フリーダムな感じで描いています。
 目次は、「デジャ・ヴュ」「ノスタルジア」「ミニアチュール」「キンミライ」「エレホン」とあり、「ノスタルジア」の最後の「給食から禁断の味へ」と、「ミニアチュール」のやはり最後の、「おもちゃをめぐる対話」では、順子なる人物と対話しております。一人二役の、架空対話ということでしょうか?
 そのようなわかで、スタイルは十二分に凝ってあるし、よく練られていると、私は思います。
 イラストも、きれい、もしくは、おもしろいし、人間ロブスターになった作者様のコスチューム? 衣装? も、セクシーでかわいいとも言えましょう。
 ところがね……。

続きを読む "『戸川純のユートピア』(廣済堂出版)の感想"

| | | コメント (0)

2024年8月11日 (日)

新しい読書感想まで……

 昨日、身内二人の初盆の法要を無事に終えられました。
 明日は、夫の実家の身内の祥月命日を迎えます。

 そのようなわけで、多忙でした。
 さらに、猛暑のせいもありますけれども、心身のダメージが並ならないことを自覚して、自分でも困っています。

 こちらのブログ更新を、放棄しているわけではありませぬ。
 今は、ひたすら、同人活動よりも、自分自身の回復を、一心に願っております。

 そのようなわけで、すみませんが、もう数日、お待ちください。

ご協力お願いします。

読書感想ランキング

| | | コメント (0)

2024年8月 3日 (土)

『チャタレイ夫人の恋人 シネマ・フォト・ストーリィ』(D・H・ロレンス 富士見書房編 富士見ロマン文庫 No.61)の感想

『チャタレイ夫人の恋人 シネマ・フォト・ストーリィ』(D・H・ロレンス 富士見書房編 富士見ロマン文庫 No.61)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 サブタイトルに、「シネマ・フォト・ストーリィ」とありますとおり、映画のノベライゼーションのようで、この本はカラー、白黒含めて、エロチックというか、セクシー系の写真がかなり多いです。
 それから、「富士見書房編」と記されていますが、あとがきによりますと、翻訳者様は飯島淳秀、角川文庫版のものを、富士見ロマン文庫のボリュームに合わせて編集部が圧縮し、また、飯島氏が一部新たな訳を加筆したそうです。
 あまりくわしくない私でも、この作品がセンセーショナルなものだと知っておりましたが、上記の都合で、完訳というわけではなさそうです。少し、がっかり。けれども、まあ、繰り返しますが、表と裏、両方の表紙に使われている写真も含めて、色っぽいです。

 簡単に、あらすじをご紹介いたしましょう。
 チャタレイ夫人=本名コンスタンス、愛称コニーは、夫のクリフォードが戦争のために下半身不随で戻ってきてから、満たされたない日々を送ります。貴族階級ゆえに金銭的には不自由はないものの、煤煙にけむる街を見ながら、コニーは小説を書き続ける夫に放置され、身も心も衰えていくのでした。
 そのような日々を送るうちに、コニーは猟場番のメラーズが体を清めているのを偶然に見かけ、心を乱されます。興味を持って、メラーズに接近しますが、彼は性悪な妻との関わりで疲れていたのと、身分違いのために、ひどく警戒します。けれども、一途で熱心なコニーの言動に心動かされ、抱擁し、二人は密会を繰り返すようになり、やがて、コニーは妊娠したことを悟ります。コニーは喜び、メラーズと愛ある生活を送るため、夫のクリフォードに離婚を要求します……。

続きを読む "『チャタレイ夫人の恋人 シネマ・フォト・ストーリィ』(D・H・ロレンス 富士見書房編 富士見ロマン文庫 No.61)の感想"

| | | コメント (0)

« 2024年7月 | トップページ | 2024年9月 »