『幻の動物たち』上・下(ジャン・ジャック・バルロワ ベカエール直美/訳 ハヤカワ文庫)の感想
『幻の動物たち』上・下(ジャン・ジャック・バルロワ ベカエール直美/訳 ハヤカワ文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
サブタイトルが〈未知動物学への招待〉ですので、この本のジャンルはノンフィクションながら、正体不明、奇妙、奇怪、恐ろしい目撃証言の動物の情報を集め、解説している内容です。
ただ、読みやすくはあるのですが、本当に情報「だけ」を、数多く、わかりやすく、ていねいに集めた「のみ」と、言えなくもありません。
いかんせん、手持ちの本の発行年月日も、昭和62年11月ですし、失礼ながら品切れ状態だろうかと、予想しておりましたが、今なお発行されているようです。
人気があるのですね。それも、納得です。
なぜなら、私も枕元に置いており、眠る前や、真夜中に起きた時など、パラ読みしているほど、おもしろい内容ですから。
ただし、何しろ、動物関係の本ゆえ、お嫌いな方は注意された方がいいと、思います。
もう一つ、実証主義にもとづく博物学がお好みの方も、あまりお勧めできないでしょう。
ハッタリ、眉唾っぽいけれども、「なぜ? どうして?」「わからなーい。でも、惹きつけられる」という、恐竜も含めた動物好き、ミステリーファンの方は、楽しんでもらえるかと、思います。
いただけないところとしては、作者様のせいではありませんが、やはり、情報が古いことですね。
上巻にネッシーのことを、詳細に取り上げておられますけれども、その正体は遺伝子解析によって予測されたと、最近、ニュースになっていましたよね?
もう一つ、掲載されている動物たちの正体については、推測の範囲内で、一部を除けば、推理、調査までは及んでおりませぬ。
さらに、私的に残念だと思うのは、大海蛇、メガロドン、モササウルス、ネッシー、クッシー他の湖の怪物といった上巻に比べて、マンモス、オオネコ、ジェヴォダンの野獣、野生児、野人、イェティ、ビッグ・フット等をあつかった下巻は、何となくテンションが低いというか、今一歩、ドキワク感に欠けるようです。
そういうわけで、私は今も、様々な大海蛇に関する事件と証言、海底の巨大未知生物たちのバトルを想像して楽しんでおりますが、下巻のジェヴォダンの野獣に関する章は、結構おもしろくて、荒唐無稽なお話が嫌いな方にも、お勧めできます。
18世紀、大勢の人々を食い殺した、オオカミに似た謎の動物、「ジェヴォダンの野獣」の資料を、コンピュータで解析したところ、野獣の本性は明らかにオオカミではありませんでした。むしろ人為的に起こされた、惨劇のようなものだったのです。まあ、割と胸のすく結論でしたが、犠牲者は本当にお気の毒です。
ちなみに、霊感のある友人にたずねたところ、彼女はしっかり、ツチノコらしい奇怪な蛇を目撃しておりました。
私は、一度もありませぬ!
うらやましい! でも、この本があるから、慰められます。不思議な動物好きの方に、お勧めいたします。それでは。
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