『ベルセルク』11巻(三浦建太郎・白泉社)の感想
コミック『ベルセルク』11巻(三浦建太郎・白泉社)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
11巻のお話は、黒犬騎士団団長ワイアルドとの戦いです。やっぱり、と言うべきか……。
狂犬じみた風貌のワイアルドひきいる黒犬騎士団は、残酷無慈悲な集団でした。鷹の団が少しばかり世話になった村を全滅させ、切り刻まれた村人達の遺体を、オブジェのようにしてかざしながら、追ってきます。
キャスカ、ジュドー、ピピンらの活躍によって、兵士達はやっつけたものの、ワイアルドは無傷。その異様なパワーと、大剣を木切れ一本のみで受けかわす様子に、ガッツは舌を巻きます。
やがて、ワイアルドはその正体を現わし、身長六、七メートル(もっとか?)、肩幅三、四メートルで、胸元に巨大な三つ目を持つ、ゴリラのような筋肉質の巨体に、元の上半身と頭をはめこんでいるような、怪物へと変貌するのでした(私の文章力では、不気味極まる巨体を表現し尽くせませぬ。興味がおありの方は、ぜひ、コミックをご購入ください)。
ワイアルドの巨体に見合うだけのパワーと、弓矢などを寄せつけない強靱な体に、鷹の団は体勢を崩し、ガッツも深手を負います。最後の力をふりしぼって、ガッツは、隠れていた大木からワイアルドの首に大剣を、次に右目に短剣を突き刺して、ようやく倒したのでした。
ところが、しばらくして、ワイアルドは息を吹き返し、わずかな隙をついて、グリフィスを捕らえます。まわりを囲んだ鷹の団に対して、グリフィスが団長どころか、廃人に近い状態であることをあばき立て、ガッツを憤激させます。ところが、ワイアルドの真の目的は、ベヘリットなのですが、グリフィスがそれを持っていないことに気づき、動転します。
そこへ、あの不死のゾッドが飛来し、あっさりと、ワイルドの息の根を止めます。ゾッドはグリフィスに、ベヘリットが必ず戻ると言うのでした。我に返ったガッツは、蝕は、逃れられない死とは何かと、矢継ぎ早に問いかけるものの、ゾッドは、「まもなくわかる」とだけ答えて、去ってしまいます。
ワイアルドは、醜悪な人間とも怪物とも知れない者達に覆われた後、彼らは消えました。残されたのは、貧相な老人の死体で、これがワイアルドの本性だった、らしい……。
初めから、作者様による、『デビルマン』リスペクトとおぼしきシーンが満載です。
罪のない少女が切り刻まれ、槍の先に刺されて掲げられているのですからね。
残酷や流血シーンの苦手な方は、『ベルセルク』は、かなりきついかもしれませぬ。今後、さらに、もっと、シビアな場面が登場しますから、どうぞ、ご注意くださいませ。
ワイアルドは、ネアカタイプの極悪人で、紅一点のキャスカへ、「お嬢さん ぼくと踊っていただけませんか?」と言ったり、甲冑をはぎ取って半裸にしたりと、本当にいやなやつです。ああ、こんなのがレギュラー化しなくて、よかったですわ。
私的に、ガッツの表情の変化にも、大いに魅せられました。ワイアルドに本能的恐怖を抱いた瞬間や、彼の攻撃を受けまくって、ボロボロになりながらも立ち上がる様子も良かったです。が、グリフィスが侮辱された際の、憤怒の表情は、一番迫力があります。
それにしても、ワイアルドだけでも、すさまじかったのに、久しぶりに見たゾッドの強烈な存在感は、私、読みながら、頭を抱えてしまいました。どうやったら、ゾッドに勝てるのでしょうねえ。
とにかく、目が離せない作品です。お勧めいたします。それでは。
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