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2024年10月に作成された記事

2024年10月25日 (金)

『歓楽のハレム』(ジョージ・ハーバート 江藤潔/訳 富士見ロマン文庫 No.64)の感想

 書籍『歓楽のハレム』(ジョージ・ハーバート 江藤潔/訳 富士見ロマン文庫 No.64)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 なかなか、楽しめた内容の本です。
 もちろん、タイトルどおりの内容で、百年以上、読み継がれてきた古典だそうです。
 あらすじを説明いたしますと、23歳のイギリス人艦長、ジョージ・ハーバート卿(文中では、「私」)は、モロッコ沖合に停泊中、ほんのつかの間、船を離れて戻れなくなり、難儀していたところを、ある女性に助けられます。そこは、何と各国の美女がつどうハレムで、彼は歓待されます。彼女達九人は、やはり、艶っぽい身の上話を順番に打ち明ける一方、彼もまた、経験してきた色ざんげを語り、夢のようなひとときを過ごすのでした。

 まず、いただけない点は、表紙イラストが、恥ずかしすぎます。足を開いた美女で、しかも、表紙のほぼ中央に(自主規制)なので、カバーをかけずに人前で読むのは無理ではないでしょうか。
 それから、最後の締めをつとめる、ルネというフランス娘がもっとも美しくて、語りも一番長かったのですが、序盤にあった、ギリシャ娘のヘレン、ムーア娘のズレイカと比較して、白人が一番! という、作者様の偏見が表われているように感じられましたね。

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2024年10月19日 (土)

『やることを先取りできる! 習慣手帳術』(海野敬・アメージング出版)の感想

 書籍『やることを先取りできる! 習慣手帳術』(海野敬・アメージング出版)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちらは、手帳の効果的な使い方を記しています。でも、今までによく読んできた内容とは、正反対の立場を取っていらっしゃいます。
 つまり、帯カバー代わりの下三分の一に印字されている宣伝文? によりますと。

「優先順位をつくらない」
「余裕時間を持たない」
「振り返りをしない」

 と、このような使い方を推奨しておられます。
 章ごとのタイトルからしても、「第0章 手帳論」「第一章 目標達成術」「第三章 習慣化術」「第四章 手帳術」となっており、よく言えばシンプル、悪く言えば、地味でパッとしない感じです。
 図表も豊富と言いたいのですが、カラフルながらも、まるで図表ソフトをそのまま引用したかのように、味気ないのです。
 それでも、作者様の主目的は。

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2024年10月13日 (日)

『神さまの怨結び』2巻(守月史貴・秋田書店)の感想

 コミック『神さまの怨結び』2巻(守月史貴・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 こちら、前回、ナンバーなし巻の感想をアップしたのは、何と4年も前→『神さまの怨結び』
 遅筆で、申しわけありません。でも、一見、美少女満載のエロ萌え系漫画のようでいて、美しく純粋すぎて、泣きそうになるほど切ないお話が多いゆえに、1冊ずつ感想を記していくことにいたしました。
 他にも、中途半端に残しているシリーズ本があるくせに、無謀だとは思いますが、本の内容がお気に召しましたら、どうぞ、おつき合いくださいませ。

 2巻に収録されているのはエピソードは三つ。簡単に、あらすじをご紹介いたします。
 幼い頃に両親を亡くして、年の離れた従兄弟である「おじさん」に育てられた、千緒子。高校に入学して間もなく、おじさんが、こっそり、下着をいたずらしているのにショックを受け、消えてしまえばいいと願ったために、怨結びの神、蛇(くちなわ)に呼び出され、呪いをさずかります。思いどおりに、おじさんは消えてしまいますが、彼が薄汚い肉欲まみれでなかったことを察知して、ひどく後悔します。自殺しそうな千緒子を止めたのは、白っぽい服をまとい、蛇を憎んでいるらしい、謎の少年? 少女?でした。
 廃墟めぐりが趣味の、メガネ少女、美影(みかげ)は、冬輝という美少女と知り合い、親しくなります。全寮制の名門校に在籍している冬輝ですが、実は男子寮に忍びこんでおり、だまされたと知った美影は、蛇に怨結びをさずかり、冬輝を美しいままに消してしまおうとします。ところが、冬輝は怨結びの呪いを知っているばかりか、「本当の僕を知ったら さすがの君もどうかな?」「教えてあげるよ セックスの……やりかた」と、逆襲してきます。冬輝の正体は……。美影は互いが、悪い子同士だと悟って、怨結びが不要だと、言い放つのでした。
 父親がおらず、母親と折り合いが悪い女子高生、知霧(ちぎり)は、カラオケボックスで遊んだ時、卑猥な写真を撮られたために、友達グループから閉め出され、クラス中のいじめの標的になってしまいます。知霧より以前に、クラスでいじめられていた少年、浦見台だけが、かばってくれました。幸い、知霧の誤解は解けて元に戻ったものの、浦見台は、またもや、日根岸らのいじめの的に。浦見台に好意を抱いた知霧は、彼を救うべく、怨結びの呪いを受けます。が、何と、母親の交際相手の男に乱暴されたため消してしまい、呪いは無駄打ちに。もう一度、知霧は蛇に呪いをもらって、いじめグループの一人を消すことに成功。彼女は、浦見台の『死神』となって、日根岸と仲間を全員消し去るまで、怨結びの連続である「重ねがけ」を、本気で実行しようとしているのでした。









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2024年10月12日 (土)

『強制除霊師・斎 隠された十字架』(小林薫 監修:斎)の感想

 コミック『強制除霊師・斎 隠された十字架』(小林薫 監修:斎)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 今回で、シリーズ15冊目ですが、思いがけない発見と驚きがあって、よかったです。
 収録作品と掲載順は、次のとおり。

 第1話 懺悔の英霊
 第2話 鯖おんな
 第3話 自殺未遂マンション
 第4話 隠された十字架
 第5話 拾い病

 では、順番バラバラですが、感想を書いていきますね。
「拾い病」、厄除けに行って、たちの悪いものに取り憑かれるとは! そういう場合のために、斎さんのような方がいらっしゃるのでしょうけれど。斎さんは、体の不調は、まず病院に行くことと、しっかり食べることを勧めています。納得。しかし、斎さんは、怒らせると怖い……。
「自殺未遂マンション」、土地に問題あり、ということなのですが、ポイントは芸能関係者。感性が鋭いゆえに、大変なことになるのですね。が、いくら頼りになるからって、斎さんを専属契約でしばってしまうのは、どうでしょう。

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2024年10月 5日 (土)

『道玄坂探偵事務所 竜胆』(原作:花村萬月 画:市東亮子 秋田文庫)の感想

 コミック『道玄坂探偵事務所 竜胆』(原作:花村萬月 画:市東亮子 秋田文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
 竜胆(りんどう)とは、作中の主人公の通称で、本名、年齢、性別(!)まで不明ながらも、とてつもない美貌の持ち主です。第七話まで収録されていて完結していますが、最後まで謎めいたままでした。
 要するに、この漫画は、不思議な魅力を放つ竜胆の、探偵としての活躍を描きつつ、大都会東京の計り知れない闇と絶望、それらからの復活を見すえているわけです。

 第一話 愛人
 第二話 甘い言葉
 第三話 蒸発
 第四話 故郷
 第五話 使い走り
 第六話 マリンブルース(前編)
 第七話 マリンブルース(後編)

 あらすじ的な説明をいたしますと、第一話はホモの愛人の失踪で、竜胆はいきなり、暴力団組長から美女と見なされ、その愛人には美青年と思われてしまいます。が、竜胆は、とことん翻弄して、解決にみちびくのでした。
 第二話は結婚詐欺師に報復するため、竜胆が女装? それとも、本来の姿? になり、小気味よくたたきのめします。
 第三話は、エリートであるはずの男性が蒸発した真相について。
 第四話は、やくざの前科者である男性は、元彼女の行方を竜胆に調べてもらいます。新生活を始めている彼女の心にあったのは……。
 第五話は、レギュラー出演している、竜胆を女と思って好いている青年、松方が、大勢の男達に袋だたきにされて負傷します。それはただの暴力事件でなく、密売に関わるものでした。
 第六、第七話は、松方が知り合った小汚い少年、芳夫は、父の行方を捜していました。父親は暴力団に捕らわれており、竜胆と松方が救出に向かいます。シリーズ中、長編であるだけに、凄惨でインパクトがあります。ずっと、へらへらした印象の松方が、最後に侠気を示したために、後味のいい終わり方でした。

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