『神さまの怨結び』2巻(守月史貴・秋田書店)の感想
コミック『神さまの怨結び』2巻(守月史貴・秋田書店)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。
こちら、前回、ナンバーなし巻の感想をアップしたのは、何と4年も前→『神さまの怨結び』
遅筆で、申しわけありません。でも、一見、美少女満載のエロ萌え系漫画のようでいて、美しく純粋すぎて、泣きそうになるほど切ないお話が多いゆえに、1冊ずつ感想を記していくことにいたしました。
他にも、中途半端に残しているシリーズ本があるくせに、無謀だとは思いますが、本の内容がお気に召しましたら、どうぞ、おつき合いくださいませ。
2巻に収録されているのはエピソードは三つ。簡単に、あらすじをご紹介いたします。
幼い頃に両親を亡くして、年の離れた従兄弟である「おじさん」に育てられた、千緒子。高校に入学して間もなく、おじさんが、こっそり、下着をいたずらしているのにショックを受け、消えてしまえばいいと願ったために、怨結びの神、蛇(くちなわ)に呼び出され、呪いをさずかります。思いどおりに、おじさんは消えてしまいますが、彼が薄汚い肉欲まみれでなかったことを察知して、ひどく後悔します。自殺しそうな千緒子を止めたのは、白っぽい服をまとい、蛇を憎んでいるらしい、謎の少年? 少女?でした。
廃墟めぐりが趣味の、メガネ少女、美影(みかげ)は、冬輝という美少女と知り合い、親しくなります。全寮制の名門校に在籍している冬輝ですが、実は男子寮に忍びこんでおり、だまされたと知った美影は、蛇に怨結びをさずかり、冬輝を美しいままに消してしまおうとします。ところが、冬輝は怨結びの呪いを知っているばかりか、「本当の僕を知ったら さすがの君もどうかな?」「教えてあげるよ セックスの……やりかた」と、逆襲してきます。冬輝の正体は……。美影は互いが、悪い子同士だと悟って、怨結びが不要だと、言い放つのでした。
父親がおらず、母親と折り合いが悪い女子高生、知霧(ちぎり)は、カラオケボックスで遊んだ時、卑猥な写真を撮られたために、友達グループから閉め出され、クラス中のいじめの標的になってしまいます。知霧より以前に、クラスでいじめられていた少年、浦見台だけが、かばってくれました。幸い、知霧の誤解は解けて元に戻ったものの、浦見台は、またもや、日根岸らのいじめの的に。浦見台に好意を抱いた知霧は、彼を救うべく、怨結びの呪いを受けます。が、何と、母親の交際相手の男に乱暴されたため消してしまい、呪いは無駄打ちに。もう一度、知霧は蛇に呪いをもらって、いじめグループの一人を消すことに成功。彼女は、浦見台の『死神』となって、日根岸と仲間を全員消し去るまで、怨結びの連続である「重ねがけ」を、本気で実行しようとしているのでした。
まず、千緒子のお話は、潔癖な少女のよくある誤解から、取り返しのつかない結果になった、ということですね。明るく、かわいらしい女子高生が、ラスト近くで、ひどく悲痛な表情になる展開が、とてもリアルに感じました。
それから、少し脱線しますが、各話はそれぞれ別個のメインヒロインがいるわけですkれども、蛇やクビツリの謎、怨結びのおきてのようなことも描かれています。美影と冬輝編では、何と! 予想外に! 誰も傷つかず消えず! ハッピーエンドになりましたが、蛇は呪い返しを受けて、大ダメージでした。どうやら、怨結びは、依頼人のしっかりした意思がなければ成立しないようで。
それにしても、千緒子と美影のお話で、怨結びにくわしく、かつ蛇を憎んでいるという、意味深なモノローグを繰り返す、目の焦点が怪しい、奇妙な白い少年? は、何とも不気味。何者なのでしょうね。
美影と冬輝編は、百合っぽいエピソードで、美影は冬輝を消す気満々で、初めてだろうと、女同士だろうと迷わずに、行為をやろうとします。このあたり、エロい反面、ちょっと笑えます。
知霧編は、学校内のいじめという、痛ましいお話に、性的虐待が加わった、凄惨なお話ですが、彼女自身は、浦見台のためならば、誰と結ばれなくなっても平気とばかりに、全然おびえていません。怨結びの代償である縁を失い続けることは、果たしてできるのでしょうか? 知霧が幸せになるのは難しいでしょうが、せめて、浦見台に嫌われずにすんでいてほしいと、私は思います。知霧の行く末が、気になってなりません。お勧めいたします。それでは。
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