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2024年11月10日 (日)

『禁じられた情事』(カールトン・ルイス 石森浩二/訳 富士見ロマン文庫 No.60)の感想

 書籍『禁じられた情事』(カールトン・ルイス 石森浩二/訳 富士見ロマン文庫 No.60)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 おもしろくない学術書や専門書ならば、知っていますけれども(教科書とか、ハウツー本など)、退屈なポルノ小説というものもあるのですね(泣)。

 この小説の原題は、「TO FATHER WITH LOVE」。おわかりのように、インセストものです。
 あらすじを説明いたしましょう。ある日、バート・シンプソンは、十六歳の娘のサンドラが、あられもないポーズを取っている、全裸の写真が入った郵便物を受け取ります。彼は動転し、秘書のサリーを呼び出して交わります。サリーは、サンドラが数年前に母と死別していて、難しい年頃ゆえに、母親代わりが必要とアドバイスし、バートは納得して、家政婦のグロリアを住み込みでやとうことに決めました。
 サンドラは、若くて肉感的なグロリアに反発し、わざと、自慰する様子を見せつけます。両性愛者のグロリアは、すっかり興奮して動揺し、こちらも自慰をする始末。サンドラの目的は、グロリアが性的にだらしない女だと、父に訴えて、やめさせること。けれども、うまくいかず、サンドラは自棄気味に、ボーイフレンドのポールを誘って、海に行き、砂浜で大胆に行為に及ぶのでした。
 シンプソン家の生活になじんできたグロリアは、バートの男らしい魅力に惹かれ、サンドラが不在の時に誘惑し、まんまと目的を達成します。まもなくして、サンドラは、父とグロリアが親密になっているのを直感します。サンドラはグロリアを言葉で翻弄して、二人は激しく交わってしまいました。
 また、バートは三度目の卑猥な写真を受け取って、我慢できずに、サンドラに問いただします。サンドラは、ひるむどころか、「パパ、愛しているわ」と、ささやいて、熱烈にキスをします。最後の一線こそ越えなかったものの、二人は激しく抱き合い、バートもまた、「私も愛してるよ、ベビー」と、言うのでした。
 サンドラは、父との関係を喜びながらも、グロリアとも心が揺さぶられます。思いあまって、彼女に相談した流れで、彼女達は愛の営みを初めてしまいます。また、父とグロリアが交わっているのを見ているうちに、自分もそうしたいと望み……。
 

 はい、すみませんが、あらすじを後略させていただきます。要するに、バートはサンドラやグロリアと一緒に、やってしまうのです。
 こうして、あらすじをまとめると、おもしろそうに思えるのですが……読む私にとっては、まるで苦行でしたよ。
 説明描写が細かいし、リアルなのは、いいのです。適当なのより、ずっとまし、なはず。
 ところが、描写が細かすぎて、ストーリーが、ナメクジのろのろ、なにぬねの、なのですわ。
 それから、これは失礼ながら、翻訳者様のせいかと思いますが、語尾がほぼすべて、「た」「だった」という過去形ばかり。「である」とか、体言止めを使うなどして、読みやすいリズムを整えてほしかったです。
 もう一つ、これは作者様の特徴でしょうが、バートとサンドラが、実の父娘でありながら、「こんなことをしてはいけない」「つい、やってしまったけど、次は絶対にやらない」といった、心理的葛藤がほとんど感じられないまま、行為に及んでいるのは、納得できませぬ。いや、インセストも架空の設定だと、頭ではわかっていますよ。しかし、少しぐらい、罪悪感や後ろめたさを描いてほしかったです。
 本当に、これらは私からのお願いにすぎませんが。
 そういうわけで、読む人を選ぶポルノ小説だと思います。興味を持たれた方は、読んでみてください。それでは。

 

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