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2025年8月17日 (日)

『なかよしオリジナル版作品集2 女の子あつまれ!』(楳図かずお・講談社漫画文庫)の感想

『なかよしオリジナル版作品集2 女の子あつまれ!』(楳図かずお・講談社漫画文庫)の感想を申します。ネタバレが含まれていますので、ご注意ください。

 収録されているのは、タイトル作品の『女の子あつまれ!』と『すきすきすき!』の2本で、どちらもコメディですが、ヒロインや設定の異なっています。
 発表されていた当時、1965~1967年頃は、ウーマンリブが流行していたのでしょうか? そういう雰囲気を感じますけれども、なかなか笑わせてもらいました。

 では、簡単に、あらすじと感想を記します。
『すきすきすき!』のヒロイン、女子学生の花園まゆみは、男子生徒にもてないことが悩みでした。弟に八つ当たりをし、ヒステリックにすごすうち、髪に一本のしらがーー福しらがを発見します。いいことがあるかもと、まゆみはそれを抜かないでいるうちに、男子達から次々と、さそいかけられます。有頂天になって、相手を取っかえ引っかえする、まゆみでしたが、しらがを気にせずにいられません。ついに、抜いてしまったところ、途端に男子から無視されてしまいます。自分は思い上がりの大ばか者だと、まゆみは反省しましたが、実は男子達の一連の行動は、ある男子の策略によるものでした……。
 自意識というか、自信過剰気味のまゆみを、へこませてやるために、男子達は、「すきすきすき!」と、彼女にまとわりつき、福しらががなくなったら、冷たくなってしまう。この変化が、おもしろいです。さらに、黒幕は、完璧すぎるのが、ちょっと……と、思いましたけれども、後味がいいです。案外、まゆみは得をしたのかも。

『女の子あつまれ!』は、260ページ以上ある長編です。ヒロインは、女子中学生の小川弓子で、何と、メインキャラクターの一人として、『ロマンスの薬あげます!』のチュー子がいます。
 高条友輝の治めた高条市に、弓子は住んでいて、中学生になりましたが、大いに問題がありました。弓子は男子の上級生に目をつけられ、予備の書道の筆を渡さなかったために、ポニーテイルの髪を切られてしまいます。なおも、いじわるをされかけた弓子を、チュー子に辛くも助けられます。まわりの女子生徒達も、男子の横暴に黙ってしたがうばかりで、弓子は激怒し、「女の子あつまれ!」と、声をかけ合って集まります。
 が、弓子は男子のわなにかかって、手が抜けなくなりましたが、一人の男子に助けられます。高条友彦と名乗る彼は、城の秘密の抜け道を案内し、弓子を逃がしてやります。次第に、女子達の不満は高まって、対男性のグループ、紅玉隊が結成され、弓子がリーダーに祭り上げられます。
 男子達も、女子がひそかに武道の練習を行なっていることに気づき、スパイを送り込みます。それは、「若殿」というあだ名の、市長の息子で、彼はチュー子に変装して潜入。本物のチュー子は、真っ先に察知するものの、猫に驚いて気絶してしまいます。
 高条友彦は、男子スパイのことを知らせようと、紅玉隊に行きますが、男憎しの女子達に見つかりそうになって、咄嗟に女子のふりをします(笑)。一方、男性達に不満を持つ女性の数は、ますます増え、男子達もまた、白玉隊をつくります。対立が激化する中、弓子は友彦への好意が高まるばかり。そして、紅玉隊VS白玉隊の戦いが始まり、両者拮抗状態になります。隊長同士の勝負となり、弓子と友彦が、かつぎ上げられます……。

 まず、いただけない点としては、弓子が受けたいじめ、これはもう、今では虐待というより、傷害罪です。ひどいことをするなあ。
 これを読まれた女性の方は、フェミニズムが嫌いであろうがなかろうが、女性側の気持ちになるでしょうね。
 しかし、ポニーテイルから、ショートボブカットになった弓子は、いかにも活発で、おてんばそうな感じで、かわいくなりました。
 割と、これでもかと、男子と男性の、思い上がった言動が描かれるので、ちとくどいかも。
 三角関係のバトル(笑)などはなく、弓子は友彦と、スムーズに親密になり、二人とも、男女で争うのをやめようと、訴えるところは、なかなか気分がいいです。
 私がうけたのは、チュー子の変装をした若殿と、チュー子本人がかち合い、互いに自分こそ、チュー子だと言って、争うところ。もう、おかしいのなんのって(笑)。
 もう一つ、紅玉隊に潜入した友彦が、女子達を刺激しないよう、女子のふりをしますが、弓子が助け船に入って、彼を女子の友達だと説明し、彼も彼で、「あたし柔道やら剣道やらやっているものだから 男みたいになっちゃったのよ」と、精一杯、しとやかに言います(笑)。
 作者様独特の、ダークな雰囲気、シニカルなストーリー展開こそありませんが、すかっと明るく、楽しいコメディです。ある意味、作者様のふところの深さがわかって、感心しました。
 さらに、この本だけの特集かもしれませんが、若き日の作者様の様子が、268ページの、「まんが家訪問 こんにちは楳図かずおです」にて、描かれています。わずか1ページですが、これがまた、結構な……。
 なかなか、充実した内容の本だと、思います。お勧めいたします。それでは。 


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